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スタッフブログ

きもの de 短歌 その13

衿あわせ 帯揚げ帯〆結び目は つねに身体の 中心となる

・・・これですね、結構バラバラの人、いるんです。ま、着てるうちにズレてきちゃうんでしょうけど。特に衿。合わせが左右にずれていたり、左右の衿巾が違ったり。衿はコーリンベルトと衣紋抜きでしっかり固定することが大切です。また、羽織を着たときは特に注意。ちょっとズレても目立ちます。

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さ行

スリップ

スリップとは生地が左右に引っ張られることによって、たて糸とよこ糸がズレる現象(形態変化)のことで、一見すると破れたように見えますが、実際にはたて糸とよこ糸が交差する部分がズレて隙間が開いてる状態です。左右に力がかかる腰周りに起こりやすく、着物や長襦袢、胴裏など生地を問いません。

スリップを引き起こす原因とされるのが、生地の柔軟加工で使用される柔軟剤で、この濃度が高いと滑脱抵抗値(摩擦係数)が低くなり、スリップが起きやすくなるといいます。また、色目を深める深色加工剤の多用も原因とされています。写真2は、色糊を使った型友禅の着物の背縫いに発生したスリップで、糸が動いたことで未染着部分が露出する「目むき」という状態。

スリップは裏地に発生した場合は交換&仕立て直しで対応しますが、スリップ自体は直りませんので注意が必要です。

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写真1 夏襦袢にできたスリップ

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写真2 型友禅に発生したスリップと目むき

 

 

 

きもの de短歌 その12

帯揚げは 普段着などにはすっきりと 若きと外出 ふっくら結ぶ

・・・ま、年がら年中きもので過ごすわけではない現代では、それほど気にすることもないかなと思いますけど。ただ帯揚げはそれほど露出させるものではないので、どのような装いでもすっきり見えたほうがよいでしょう。それと色。好き勝手な合わせ方が許されるのは振袖だけです。帯〆にも言えることですが、全体のバランスが大切です。で、実は一番センスが表れるのが、この小物の色合わせなんですね。好みなので別にいいんですけど、他人はそれ見ていろいろ思うわけですよ。まあ気にしなければいいんですがね。ただ帯〆と帯揚げを同じ色で合わせるの、これ昔はありましたが今は野暮ったい。同じに見えて、同じじゃない。しかもそれが瞬時に分かる。こんな合わせ方が、今なんでしょうね。

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さ行

スレ

スレとは、絹が湿った状態で摩擦されることによって発生する絹特有のトラブルです。絹は水に弱く、濡れると縮んだり、摩擦で生地が傷んだりします。よくあるのが、シミを付けて慌てて水でこするケース。また汗をかいた部分にも起こります。スレたところは、生地を斜めにするとよく分かりますが白っぽく見えます。色が剥げたように見えますが、これは生地が損傷し、スルメを裂いたような状態になって、光の乱反射や透過により白けて見えるのです。

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スレの箇所

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スレの拡大写真

 スレの修正には樹脂系のスレ直し剤を用います。剥がれて細繊化したスレの部分を元の繊維方向に寝かしつけることで、光の乱反射や透過を軽減させます。しかし、すべてのスレを直すことは出来ず、完全に元の状態に戻すことは不可能です。特に無地染めのもの、色の濃いものは修正跡が目立ちます。

スレは着物に限らず絹織物すべてに起こるトラブルですが、未然に防ぐことも十分可能です。着物の取り扱いに対する正しい知識を持つことが大切です。

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正常な繊維

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スレ発生部分

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スレ直し部分

 

 

 

きもの de短歌 その11

帯〆の 房喜びは上に向け 悲しみのとき 房は下なり

・・・これは袱紗や祝儀袋の閉じ方と同じで、慶事は上向き、弔事は下向きという意味です。で、分かりにくいのが普段着の場合。よく言われるのが左側が上向きで右が下向きというのですが、その逆という人もいる。ざっくり左右上向きなんて人もいる。つまりバラバラで、決まりはないようです。帯〆の始末について言えば、房の向きより、帯〆自体の長さの方が気になります。最近はしっかり胴回りを補整する関係で、並尺では房がしっかり脇まで届かないんですね。これはカッコわるい。だからといって長尺では長すぎる。結構困ってる人、いますよ。組紐屋さん、そろそろ考え時じゃないですか。

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さ行

除湿剤

きものを保管する上で何よりも大切なものが除湿剤です。湿度をコントロールして保管環境を整えれば、保存中のトラブルの80%は防げると言われます。除湿剤には大きく分けて塩化カルシウムタイプ、吸湿ゲルタイプ、シリカゲルタイプがあります。このうち塩化カルシウムタイプと吸湿ゲルタイプは、吸湿すると液状化してきものを汚す事例が過去にあり、現在は形状的にはほとんど変化しないシリカゲルタイプが主流です。ちなみに下の写真のシリカゲルは、シート状になっておりがさばらず、きものに特化した商品で、2枚入りで1728円。お薦めです。

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きもの de短歌 その10

色により 帯締めの向き使い分け 金銀濃淡 濃い方が右

・・・帯締めにも様々な色柄があります。そのすべてに組み合わせの格があるので、初めはなかなか分かりにくいですね。大きくフォーマルとカジュアルに分けると、金銀・薄色のポイント柄の平組みがフォーマル、無地・濃色・総柄の丸組(平組)がカジュアル、となります。また平組の帯締めには必ず裏表があります。見分け方は金糸組の方が裏側、または房のところの「ヘソ」側が裏です。それと平組みの帯締めはポイント柄が多く、ほとんどセンターより左右どちらか寄りについています。この場合は自分から見て、必ず左側に柄がくるように締めましょう。

 

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さ行

しわ

しわは一度でも着ればどうしても付いてしまうものです。しわの発生は、その生地の持つ特性(伸縮性・復元性)により多少の違いはありますが、着たことにより付く、帯下部分と正座したときに生じる後ろ身頃の膝裏付近のしわは、ほぼ100%発生します。

原因は「湿気」です。着用時のぬくもりや汗などにより、吸湿した状態で長時間着用していると、しわが付きやすく、また取れにくくなるのです。そして一度付いたしわはハンガーにかけておいても直りません。

しわを直すにはスチームをかけ、生地をしわが出来たときと同じ吸湿した状態にする必要があり、さらに縮みを防ぐため瞬時に湿気を抜かなければなりません。そのため、家庭用のスチームアイロンでは難しく、ご自分でされることはお勧めできません。

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きもの de短歌 その9

お太鼓の 結び上がりにシワとりて たれ先その下 たしかめるべし

・・・帯結びには「きもののレベル」が表れます。着付けは「技術」なので、その人の創意と個性が映るのです。帯だけでなく、例えば衿の合わせ方、裾の収まり方など、何気ない着姿に表れます。ま、平たく言えば着慣れてるか、ビギナーかですね。帯結びで言えばお太鼓のかたち、胴の巻き方、たれの長さ、帯揚げの出方や帯締めの房の始末等、ひとつひとつのディテールにまで表れてしまいます。でもね、それを隠す必要はありません。きものが身にまとうものである以上、体形の違いによりその着姿は人其々です。判で押したようにはいきません。そこに創意と個性が生まれるのです。キレイな着方より、自然な着姿。洋服には出来ない着こなしの醍醐味です。

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か行

毛羽(ピリング)

裾裏地の八掛等に見られるトラブルに「毛羽立ち」があります。毛羽立ちは生地が何かと擦れることにより、摩擦によって起こります。よく似た症状に「スレ」がありますが、スレは生地が湿潤した状態で起こり、毛羽立ちは乾いた状態で発生します。また、毛羽立ちは撚り合わせた絹糸が切れて単繊維が抜け出した状態で、スレのような繊維自体の剥離損傷は見られません。どのような生地でも濡れればスレは起きますが、毛羽立ちは事故例としては多くなく、まったく起きない生地もあります。糸の質にその原因があるとされるので修整は難しく、生地の交換となります。

 

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八掛の裾に発生した毛羽立ち(京都市繊維技術センター資料参照)

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毛羽立ちが発生した部分(京都繊維技術センター資料参照)