2011年9月
★【しみ抜きビフォーアフター】⑥
やはり残ってしまいました。初の返品事例です。
黒褐色のシミは薄くはなりましたが、酸化跡は消えていません。
どうやら「サビ糸」ではなかったようですが、
しみが薄くなると同時に柄も抜けてしまいました。
酸化したしみの地直しには、必ず漂白加工が伴いますので、
どうしても染料を使った手書きの修整工芸が必要になりますが、
たとえば江戸小紋のような細かい模様の場合は、大変な手間がかかります。
しみ抜きとは単にしみを落とすことではなく、
しみの部分を総合力で原状回復すること、を意味します。
コレ、直りますか?しみ抜き加工事例⑦
事例⑦ 酸化しみ ( M様 )
一見、何かに擦ったような汚れに見えますが、実はこのシミは手強いですね。
拡大すると、糸自体が変色して、それが織り込まれてるようにも見える。
これは「サビ糸」といって、生糸が精練されるとき、何らかの理由で不純物が糸に残り
それが後々時経変化して発色するもので、その場合はほとんど落ちないケースが多い。
もっとも、シミの発色というのは実に様々で、これがそうだとは見ただけでは分かりません。
いずれにしても、色を見ただけでも落ちにくいシミであることは変わらず、
これはこのコーナー初の「返品」ケースになるかも。
乞うご期待(?)。