きものトラブル事例集
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金彩変色
金彩(金加工)は、長期の保管中に徐々に変色することがあります。変色の原因は様々ですが、大別するとガスによるものと、酸化によるものに分けられます。金彩に用いる金属は金・真鍮・銀・アルミニウム等がありますが、例えば銀やアルミニウムはイオウ分と反応して硫化銀となり黒く変色し、真鍮は銅と亜鉛の合金であることから、酸化すると緑青に変化して緑色のサビとなります。
イオウ分といってもピンとこないかもしれませんが、着装に使うゴム製のベルトやウールの腰紐にはイオウが含まれており、緑青は文字通り酸化反応です。金彩に用いる金も本金ではなく、銀やアルミをベースに黄色く着色したものが多く、結果黒く変色するのです。また、湿気により金彩の下のバインダー(接着剤)が腐食して、変色しているケースも多く見られます。
金彩変色のほとんどが、その保管環境の悪化によって起こります。一度変色してしまうと修正は難しく、新たに金彩加工を施すとなると高額な費用が掛かります。虫干しや乾燥剤を多用し、良好な保管状態を保つことがなによりも大切です。
金彩の硫化変色
ホックに発生した緑青の打ち合い
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