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きものDE短歌

きもの DE 短歌 その31

五つ紋 黒留袖に黒喪服 男子紋付 男児祝着

五つ紋の着物は所謂第一礼装で、儀式

に装う着物を意味します。

 

具体的には結婚式、葬儀、男児の七五

三及び男性の叙勲式です。

 

ですのでこれらの機会に遭遇しなけれ

ば、先ず袖を通す事の無い着物です。

 

紋付きには一つ紋、三つ紋、五つ紋が

あり、一つ紋は背中、三つ紋は両外袖

五つ紋はそれに両胸が加わります。

 

紋の数が多い程格が高くなり、五つ紋

の代表格である留袖、喪服は地染めの

段階で丸く五つ染め抜かれて、五つ

紋以外は入れられません。

 

対して一般に一つ紋、三つ紋を入れて

装う着物は紋は染め抜かれておらず、

必要に応じて抜染して書き入れます。

 

例えば無地の着物は一つ紋で略礼装に

用いる事が多いですが、紋を複数入れ

て礼装にしたり、紋を入れずに普段着

として装ったりと、紋の数で格を変え

る事が可能です。

 

また色留袖も後から必要に応じて紋を

付けますが、色留袖自体が略礼装な

、紋入れは三つ紋からになります。

 

また訪問着も略礼装ですが、訪問着に

紋を入れても格は変わらないので注意

が必要です。

 

ちなみに三つ紋は準礼装、五つ紋が第

一礼装で、結婚式で挙式に臨めるのは

準礼装以上の装いと、本来は言われて

おります。

ま、本来は、ですがね。

 

きもの DE 短歌 その29

留袖は 比翼仕立に本襲 いずれとりても まちがいでなし

黒留袖は比翼仕立てと言って、羽二重

で衿や袖、裾周りに別布を付ける仕立

形が一般的で、色留袖も礼装に用いる

場合は比翼仕立てにします。

 

しかし本来は羽二重で仕立てた着物を

重ね(襲)て着ていました。

慶事を重ねる意味とも言われますが、

その根底には宮中衣装の十二単の美的

感覚、つまり衣襲ねを貴ぶ意識がその

後も受け継がれていたようです。

 

因みにその襲ねが生まれた理由は、

宮中での見栄の張り合いだったとか。

20枚重ね着の猛者もいたそうです。

 

で、その比翼の付いてない留袖、タン

の底から見つかって、そのまま着ら

るかの問いに、比翼が無いと礼装で

はないからダメと答えるサイトがあ

ますが、そんなことはありません。

 

礼装かどうかは紋の数で決まるので、

比翼の有無は関係ありません。

 

袖や裾の比翼は本来見せるものでは

ないので、白の重ね衿だけ付ければ

十分着ることは可能です。

 

ホント、ネットってやーねー。

きもの DE 短歌 その28

黒留袖 またの呼び名は祝儀着で 江戸褄模様に裾模様

黒留袖は五つ紋の裾のみ模様のある、

祝儀用(結婚式)の礼装着です。

 

留袖は別名「江戸褄」とも呼ばれます

が、それは模様付けに由来します。

 

そもそも「褄」とは何かと言うと、

衿下から裾にかけての部分のことで、

そこに描かれた模様を「裾模様」と言

いました。

 

実は留袖が今日の柄付けになる迄には

様々な裾模様が存在します。

 

十二単の下着だった小袖から発した

着物は、時代と共にその形と模様を

変えて行ったのです。

 

以下、その変遷を「和装組曲♪」さん

より引用させていただきました。

ありがとうございました(^^♪)。

 

 

「肩裾模様」と「片身替わり」

202333011593.jpg

右図の「肩裾模様」は室町から桃山時

代にかけて流行した模様づけ。

肩と裾に模様を配し他を余白とした。

能装束にこの形が残っている。

 

左の「片身替わり」は桃山時代のもの

で、背縫いを挟み左右模様が違う。

元々は下級武士が二枚の着物を一枚に

やりくりしたものだったとか!

 

 

「江戸褄模様」

 

2023330143013.jpg

 

江戸後期遊郭や町人女性に流行した。

裾引きの着方なので柄が左右対称で、

今の留袖の原型とも言うべき柄付け。

裾引きと言うと大奥のイメージだが

実際には一般庶民も裾引きだった。

 

 

「裏勝り」

 

2023330144125.jpg

 

前から見て裾が開いた状態。柄が付く

のは裏側で表は無地。完全に引きづり

で着たときに柄がきれいに映るように

作られたもので、まさに裏が勝る。

江戸時代後期のもの。

 

 

「島原褄」

2023330145222.jpg

 

同じく江戸時代の後期に、京都の遊里

島原が発祥とされる模様付け。柄位置

が高く、衿付から褄を通し裾まで伸び

ている。引きづりならではの模様だが

在は残っていない。

 

 

「裾模様」

 

202333015109.jpg

 

18世紀半ばから、腰から下に模様を

配する「腰模様」が現れ、その後現在

に通じる「裾模様」に変化してゆく。

右側の図は左右対称ではないが、時代

はまだ引きづりだったので、非対称の

柄は美意識を反映したもの。

 

 

留袖に限らず、着物の柄付けはお引き

づりという着方に合わせて始まったこ

とが、このことから良く分かります。

 

因みにおはしょりを取る着方になった

のは明治以降。時代の変革とともに

着物に求める機能も変わっていったの

でしょう。

と言うか、明治の頃まで日常的にお引

きづりで生活していた事が驚きです。

 

 

ところで、対丈だった小袖から何故不

便なほど着物の丈は長くなったのでし

ょう。そして変わることなくどうして

受け継がれて来たのでしょうか。

 

幕府の衣服統制が原因とか、掛布団の

代わりだったとか諸説あるのですが、

断定出来る理由は分かっていません。

 

しかしそこには奢侈禁止令から江戸

紋が生まれたように、不便である筈

形をあるがまま受け入れ、それすら

しく昇華させる、江戸の人々の知恵

矜持と美意識が、ひしひしと伝わって

来るような気がします

 

 

 

 

 

 

 

 

 

きもの DE 短歌 その26

付下げは 反物のまま柄づけし 裁ちて仕立てて 柄は上向き

白生地を着物の形に仮縫いして染める

訪問着と違い、付下げは反物の状態で

伸子張りして染めます。

 

柄付けの位置は予め決まっていて上前

身頃、左胸、左内袖、右外袖、右肩口

後裾等、縫目を介して繋がらないのが

特徴です。

 

連続した裾模様ではないので豪華さ、

華やかさはありません。それもそのは

ずで、付下げが生まれた理由が戦時中

の贅沢を慎む社会情勢だったのです。

 

言わば戦争の遺産とも言える柄付けで

すが、それゆえ訪問着にはない洒脱や

粋さを表現する自由さがあります。

そのため格の高さとしては、若干付下

げの方が下がる傾向といえます。

 

もちろん、付下げにも格調高い柄もあ

ります。

 

そこで訪問着と付下げを一発で見分け

るポイントをお教えします。

 

それは、衿に柄があるかどうか。

あれば訪問着、無ければ付下げです。

 

しかし断言はできません。

油断してはなりません。

 

中には柄のある付下げもあるかもしれ

ないのです。

 

世の中、何が起こるか分かりません。

あのロシアだって攻めて来たんです。

 

ですから一発ではなく、三発目当りで

お願いします。

 

以上、きものDE短歌その26でした。

 

 

きもの DE 短歌 その25

訪問着 反で仮縫い柄づけし 共裾にして一幅の絵に 

訪問着の染色方法のことです。

訪問着や留袖・振袖は絵羽模様と言っ

て、縫い目を越えて柄が繋がります。

 

これは白生地(反)のまま着物の形に

仮縫いして、その状態で下絵を描き、

それに色を挿して染めていきます。

 

縫い目を跨いで繊細な模様も描けるの

で、広げるとあたかもキャンバスに描

いた1枚の絵のようになるのです。

また高額品になると、着物と共生地で

(共裾)裾裏にも柄が描かれます。

 

礼装の着物は皆このような絵羽模様で

訪問着もそのひとつですが、訪問着に

似たものに付下げがあります。

 

実はよく訪問着と付下げの違いが分か

らない、という声を聞きます。

 

で、次回は付下げです。

 

 

きもの DE 短歌 その24

長襦袢 留袖喪服に白紋綸子めでたき地紋は 留袖のみに

黒留袖や喪服など、第一礼装に合わせ

る長襦袢は白になります。生地につい

ては別段紋綸子にこだわる必要はなく

白であることが大切です。

地紋も着ちゃえば分からないから、

まあいいでしょう。

 

喪服や黒留袖に、色ものの長襦袢を合

わせる人、コレ実はいるんですね。

ご本人は知識がなかったかもしれませ

んが、礼装ですから着付けも有料だっ

ただろうし、であれば間違いであるこ

とを容易に知り得たはずですが。

着付けのプロがそのことを知らない訳

がありませんが、どうなんでしょう。

 

もっとも、当日さあ始めましょうって

段階で、持ってきたのが色ものだった

と分かったら、もうしょうがないか。

 

ちなみに白い長襦袢を合わせるのは、

紋が五つ入った第一礼装のみ。

三つ以下なら色ものでもOKです。

 

 

 

 

きもの DE 短歌 その23

はきものの 色はきものの地に合わせ 帯や小物に 合わせるもよし

「はきものの 色はきものの地に合わ

せ・・・」とありますが、これは間違

いです。というか、すべてではない。

 

きものの地色に合わせるケースは、主

に紬等のしゃれ物の場合で、礼装や改

まった装いのときは、薄めの色で合わ

せた方が無難です。

 

小物との調和も、コーディネートし易

いしゃれ物の方が自由度が増します。

 

また、帯は装いの格を表す最大のアイ

テムなので、その格に合わせた小物選

びが大切です。

 

和装のコーディネートは一見難しそう

に感じますが、色が濃くなる程しゃれ

感が強まる、改まった感じでなくなる

ことは覚えておきましょう。

      

きもの DE 短歌 その22

履物は きものの種類で使いわけ 格高きほど かかと高きを

履物も、基本的に礼装とカジュアルに

分けられます。一般に礼装はかかとが

高め(5センチ前後)で、三段重ねの

ものが多く、カジュアル用は一段で高

さも低めです。

 

また、色も礼装は金・銀や白っぽいも

のを選んだ方が無難ですが、カジュア

ルならコーディネートに合わせた色選

びが可能です。

 

履物のサイズ表示はS・M・L・LL

の4種類で、Mサイズが23~23.

5センチ、Lサイズが24~24.5

センチで、これより小さければS、大

きければLLとなります。

 

草履のサイズは靴のようにセンチ刻み

でなくアバウトなので、サイズ選びに

戸惑うかもしれませんが、靴のように

足を包む形状ではないので、普段履い

ている靴のサイズで判断すればよいと

思います。

 

また、よく草履はかかとが少しはみ出

た方が格好いい等と言われますが、そ

れは履き慣れた人の美意識の問題で、

サイズが合ってないと痛いだけです。

 

それと、試し履きで親指の部分が当た

って痛いので、大きめのサイズを選ぶ

人がいますが、指で挟む前ツボはその

人の足の厚さに合わせて伸びるので、

オーバーサイズだと後日かえって歩き

にくくなります。

 

本来は履き込んで自然に馴染むのです

が、着物の機会が少ない今日では、事

前に室内で履き慣れておくか、鼻緒を

引っ張り、前ツボを伸ばしておく必要

があります。

 

もっともどこで履こうが、自分で履け

ば痛い。なら、いっそのこと御主人様

に代わりに履いてもらうとか。

誰が履いても、要は大きくなればいい

のですから。

 

痛みも顧みず、体を張って妻に尽くす

そこにはまた新たな御主人の利用価値

もとい、偉大さに、

気付かれるかもしれません。

 

 

 

 

 

 

 

 

きもの DE 短歌 その21

帯枕 若きは厚く他は薄く 結びによりて 種類はかわる

帯枕は大きさの違う種類があります。

一般的には袋帯用、名古屋帯用、振袖

用の3タイプに大別でき、袋帯用は横

長の厚みのあるもの、名古屋帯用はそ

れより薄く小ぶり、振袖用とは帯自体

は袋帯を用いますが、ふくら雀等横結

び用の貝殻のような楕円の形の帯枕を

使います。

 

袋帯を締める礼装・順礼装は格のある

華やかな装いなので、帯も二重太鼓の

張りのある帯姿のため大きめ、名古屋

帯はしゃれものや控えめの装いに合わ

せるので小ぶりになります。

 

また、礼装であればお年を召しても袋

帯を締めますし、若い人でも名古屋な

ら小ぶりに締めますので、その意味で

は年齢による使い分けはしません。

 

こらぁ川柳、間違っとるぞ!

あ、短歌か。

きもの DE 短歌 その20

伊達〆は 衿元裾を整えて 上、下二本で 着崩れ防ぐ

伊達締めは、衿合わせを固定したり、

おはしょりを整えるために使うもので

上下とは着物と長襦袢に、2本使うと

言う意味です。

 

ただ、衿を留めるためには一般的にコ

ーリンベルトを別に使いますので、

腰紐一本では心元ない前合わせを始末

する、サポート的な役割もあります。

 

というのも、土台となる腰紐が緩むと

伊達締めも何もかも、すべてが緩んで

しまうのです。

また、衿合わせに使うコーリンベルト

も、腰紐が緩むと衿がかぶってきて、

衣紋の抜けてない子供の着物のように

(カッコ悪く)なってしまいます。

 

何でもそうですが、土台や基礎という

ものが、一番大切なのです。

 

最近、我が家でも羽アリを

よく見かけます。

心配です・・・。

 

 

 

 

 

 

 

きもの de  短歌 その19

伊達締めは 衿元裾をととのえて 上、下2本で 着くずれ防ぐ

伊達締めは、8~10センチ巾の芯が入った、腰紐の親戚のような小物。

主に前合わせのモコモコ感をすっきりと抑え付けるのに使います。

上、下とは長襦袢、きものを意味し、つまり着装には2本必要です。

 

伊達締めは、着付けに必要な和装小物のひとつですが、実は腰紐でも

代用できます。実際のところ、衿合わせはコーリンベルトを使いますし、

着くずれ防止の要は腰紐にあります。どれほど小物を使っても、やはり

心棒がしっかりしてなくてはダメです。そう、アタシも同じですね。

 

は、私事で恐縮ですが、暮れに首の手術をして、数日前に退院

して来たばかりでして、今モニターの前でキーを叩くのも必死なのです。

人間(に限らず)、心棒がしっかりしてな、あきまへんなぁ・・・。

きもの de  短歌 その18

伊達衿は 小紋以上に使用して たるみなくつけ 衿元よそおう

伊達衿(重ね衿)は、着物の衿と長襦袢の衿の間に付けます。付け方は、付属のクリップで

着物の衿裏の縫い目に留めるのですが、自分で着付ける場合は、縫い付けたほうが楽です。

衿の出方は5ミリぐらい。トリミングのための色重ねなので、あまり出過ぎても野暮ったくなります。

伊達衿の色は、基本的には柄中の一色を用いるのが無難です。訪問着ならば、肩口の柄中の一色。

もちろん、どんな色を合わせようとそれは自由ですが、着物姿の色がさねは調和が大切なので、

「馴染む色」であることがポイントです。

伊達衿を使うきものは一般的にはつけさげや訪問着。小紋姿にも合わせられますが、

無理に合わせるのなら無い方がすっきりしていいかもしれません。

無地は柄が無いので、地色の濃淡色の一択のみ。

そして、どうしても紬に合わせたいって方。もちろん自己責任のおしゃれですので、

そうよワタシはこういう趣味とセンスなの!と、堂々と着ちゃうのが勝ちです。

ようやく夏も暑くなったことだし!