きものを美しく装う「きもの百首」※その三
衿ぬきは 年齢により加減して
きものの格と 体型にもよる
「着こなし」という言葉があります。
「着こなし」とは、「着る」ことを「こなす」、つまり「思い通りに着る」ということです。
和装でも洋装でも使いますが、きものと洋服ではちょっとニュアンスが違ってきます。
洋服の場合は主に「コーディネイト」、つまりアウターとボトム、またはインナーとの
「組み合わせ」を意味しますが、きものの場合は、文字通り「着方」を表します。
体のカタチに沿っていて、容易に着ることができる洋服に比べ、ひも一本で身にまとうきものは
どうしても着方が不安定になりがちですが、それゆえ、アレンジし易いとも言えます。
それを逆手に、きものは昔からちょっとした着方の違いで、着手の人となりを表現してきました。
衿を抜く(衣紋を抜くとも言う)とは、衿後ろを下げて首筋を開ける着方のことで、
これは江戸時代に、鬢付け油で衿が汚れないように、衿を抜いたことが始まりです。
襟足がのぞくことで玄人感が出て、若い女性(特に箱入り娘さん)には不向きとされていますが、
そのように着付けてわざと雰囲気を醸し出したり、首の短さ、肩回りのボリュームをおさえるために、
衿を抜いてすっきり見せるなど、それこそ、「着こなし」で表現できるのです。
着るもののカタチではなく、着方を変えることで、着手の意思を表現する。
洋服にはない(イヤ、下げパンがあるか)、まさしく、「衣の文化」であるところの
「きもの」だからこそ、為せるワザなのです。
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