2011年4月
★加工事例【しみ抜きビフォーアフター】②
上は3月22日掲載した、衿汚れの加工事例です。
衿の汚れは主に汗、皮脂、ファンデーションで、ベンジンに代表される揮発溶剤(イグロイン)を使って加工します。
これにより、汚れの90パーセントを占める皮脂、ファンデーションは落ちます。
問題は残りの10パーセント。これは汗です。
汗つまり水は、揮発溶剤では落ちません。水は水を使わなければ落ちないのです。
これが難しい。
ご存知のように、正絹は水に濡れると縮みます。色も滲むことがあります。
まして裏地が付いています。そのまま濡らせば、大変なことになります。
それをするためには、そのための道具と設備が必要になるわけです。
ま、それを使う職人さんにとっては、そんなに難しい仕事ではないそうですが。
加工料は2.000~3.000円です。
コレ、直りますか?しみ抜き加工事例③
事例3 着用じみ (桜台 S様)
色留袖の袖に付けたシミです。何を付けたかは不明。
付着したシミは、比較的簡単に落とせます。よく、何を付けたか、
事細かに申告しなければならないみたいに、ものの本に書いてありますが、
別に分からなくても大丈夫です。
シミというのは複合体なので、中和させるためのあらゆる処方を行います。
それより大切なことは、イジらないこと。
あわてて、水を付けて擦っちゃう。しがちですね。
そこをグっと堪えて抑えましょう。
イジると面倒なことになります。
それは、コチラ。
★加工事例【しみ抜きビフォー・アフター】
|
上は前々回の事例1でご紹介した、酸化による黄変シミの修整加工の絽のつけさげです。
主に過酸化水素水による漂白と、ゴフン染料を使って工芸修整しました。加工料は4万円台です。
加工難易度はそれ程高くはありませんが、黄変を一つ一つ筆で修整するので、
しみの範囲が広い場合は手間となり、見積もりも高くなります。
もっとも、この「手間」の捉え方は個人差があり、「ま、こんなものやろ」と思えばそこまでで、
それ以上のキャパの仕事に比べれば雑でムラな上がりになります。
職先の仕事の姿勢が表れやすい加工です。