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2016年6月

きもの de 短歌 その4

衿あわせ 若きはつめて 年ごとに ゆるみもたせて 装うのがよし

・・・確かに年齢によって衿の合わせ具合は違うと思いますが、それ以上に大切なのが、きれいに衿合わせすること。繰越しのない男の着物でも衿はすぐ乱れやすく、見た目にも左右の半衿の出かたがバラバラでは見苦しくてカッコ悪いです。衿が適度に抜け、半衿がすっきり見える着こなし。帯から上はこれに勝るものはありません。

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あ行

糸よごれ

糸よごれとは、生糸の単繊維にカイコの汚れが付着したまま織られた布に見られる黒っぽい筋のこと。死繭(しにまゆ)とも呼ばれ、拡大すると繊維に織り込まれているので、明らかに後から付いたしみや汚れではないことが分かります。比較的紬地に多く、紬の野趣と捉える見方もあります。

2016621133330.jpg            黒く見えるのが死繭部分            (京都市産業技術研究所資料参照)

 

 

 

きもの de 短歌 その3

衿抜きは 年齢により加減して きものの格と 体形にもよる

・・・まあ、あまり抜き過ぎるのもどうかと思いますが、ぜんぜん抜けてないとこれはカッコ悪いです。でも今は抜いてるひとの方が多いようで、昔みたいに5分なんてあまりないですね。大体8分ぐらいかな。以前、テレビのワイドショーのコメンテーターにどっかの大学の先生で、うなじどころか鎖骨まで見えるほど抜いて着てるひとがいたけど、あれはやりすぎです。そういえば最近見ないけど。

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あ行

アイロンのアタリ

アイロンのアタリとは、生地にアイロンを掛けたとき、生地の表面に光沢異常(テカリ)が起きることです。絹はデリケートでアイロンの設定温度が高過ぎたり、強く生地に当てたりすると付きやすく、特に濃い色は目立ちます。また単衣の場合は布の厚みの段差だけでアタリが付くので、アイロンを掛けるときは縫い目を避けるようにします。アタリは生地の光沢異常なので修整するのは難しく、アイロン掛けは注意が必要です。

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上下の赤いシールの間に見える三角形の黒ずんだアタリ。これはアイロンの跡で、光沢異常により生地や地色によってはそこだけ濃く見えます。

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アタリを拡大したもの(右が正常)。圧が掛けられ糸の組織の頭が扁平になることで、光の反射屈折で光沢異常を引起します。(京都市産業技術研究所資料参照)