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2016年7月

▲きものトラブル事例集▼

あ行

黄変

文字通り黄色く変色すること。絹はたんぱく質なので、長い間に酸化を起こし変色します。これは自然の酸化作用で、言うならば「お肌の老化」と同じ、防ぐことはできません。胴裏の変色で気づく場合が多いですが、表地も染めてるので分かりにくいだけで、同様に変色しています。白襦袢でありながらキレイに黄変しているので、クリーム色の長襦袢として持ってこられたお客様に、これは変色した白襦袢ですよといってびっくりされる方がよくいます。ちなみに黄色くなった白生地は商品価値ゼロで、呉服やさん泣かせです。

 

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              紋綸子(左)と黄変したちりめん生地。これでも一応無垢。

きもの de 短歌 その5

紐のいち 長ききものに位置高く 短ききもの 位置低くする

・・・これは着物の身丈の違いを、腰紐の位置で調整するという意味です。どんな着物を着た場合でも、その人の締める帯の位置は一定です。そこで長い丈の着物は腰紐を締める位置を高く、短めの着物の場合は低くしておはしょりの長さを調整するのです。「おはしょり」という、着物独特の「部分」が成せる技ですね。

▲きものトラブル事例集▼

あ行

ウォータースポット

一越や古代ちりめんなど、捻糸を使った生地に水滴などが落ちると、その部分だけ地色が濃く見えることがあります。これは生地が部分的に収縮し、光沢異常によって濃く見えるもので、ウォータースポットと呼ばれます。ちりめんなどのシボの立つ生地は湿気に弱く、水がかかるとその部分だけ縮み、陰影となるのです。ウォータースポットを直すには、部分的であれば蒸気を当てて再整理することで修整できますが、例えば土砂降りの雨に当たったとか広範囲に濡れた場合は、解いて洗い張りをしなければならなくなり、大事になるので注意が必要です。ウォータースポットを防ぐには撥水加工を施す等、事前の準備が大切です。

 

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     ウォータースポット。濃い部分が縮んでいる。

    (京都市産業技術研究所資料参照)