注意!金駒刺繡の着物をお持ちの方は気をつけて!
絢爛豪華な刺繡の着物。中でも金糸で縁取る「金駒刺繡」は、着物の柄に華やかさと
立体感を引き立たせる、高額商品によく用いられる刺繡です。
この金駒刺繡が取れてしまったので直して欲しい、という依頼が最近増えています。
もちろん、直すことは出来るのですが、実はこれが、意外と費用が掛かるのです。
金駒刺繡(銀駒刺繡)は「駒繡・こまぬい」と呼ばれ、太い金糸を下絵に沿わせ、
綴糸(とじいと)で留める技法なのですが、この綴糸が細く、経年劣化で痛んで
切れやすくなるのです。
痛んでいる糸は密着性が悪く、指で触ると浮いて動くのが分かります。
しかし一見しただけでは分かりにくく、知らずにそのままクリーニングに出して
初めて痛んでることに気付くようなケースもあります。
このような金駒刺繡の修理は、単なるほつれ直しでも、刺繡専門の職人に依頼します。
なぜなら、経年劣化のほつれは部分的なものではなく、全体に及んでいる可能性が高く
その場合、一部を留め直してもまた他のところにほつれが起こり、結局すべての刺繡を
一度はがして置き直さなければ、完全に直すことが出来ないのです。
そのため、刺繡直しは新たに刺繡を施すのと手間が変わらず(むしろ掛かる?)、
結局費用も高額になりがちです。
過去に行なったケースでは、留袖の身頃の柄30センチ四方の直しで、70.000円
ほど掛かったことがあります。
また一度、部分的な直しを依頼したことがあったのですが、思いのほか費用が掛かり
(10センチぐらいで20.000円)、また完全に直るわけでもないので、
結局加工を諦めたこともあります。
金駒刺繡の柄は、友禅模様の留袖や訪問着にも用いられるので、このような着物を
お持ちの方もいらっしゃると思いますが、刺繡はとてもデリケートです。
取り扱い、メンテナンスには細心の注意が必要なことを、お忘れなく。
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