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2020年3月

だれか、たすけて。

現在、環状4号線青葉台駅周辺のイチ

ョウ並木は、植樹40年を経て巨木化

大径化したことから、通行の安全性や

樹木の健全性を考慮し、間引き伐採が

行なわれている。

 

イチョウは虫が付かず、難燃性である

ため、街路樹には最適とされており、

秋には厄介な落し物が難点(人による

が)ではあるものの、それでも青葉台

の季節を彩る、馴染み深い木々です。

 

なので、切ってしまえば当然、

 

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こういう反応は起こるわけで、

新たな切り口を見れば、

 

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という気持ちにもなるんですよね。

 

まあ、あればあったで不満を言い、

無ければないで文句を言う。

古今東西、これが世の常ですか。

 

ここは地域の住環境、交通安全のため

切るのもやむなしかと・・・

 

 

 

 

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ってオイ、ずいぶん切ったな・・・!

 

 

 

 

 

 

 

さよならは、突然に

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先日、年末に発注していた染加工が、

ようやく京都より上がってきました。

これは当店で手掛ける誂え友禅として

は、最後の加工品となりました。

 

昨年、京都で唯一操業していた染工場

が、ブック見本の新刊発行を見送り、

現行のブックでの受注が最後となり、

12月30日京都着の、駆け込み発注

で染め上がったのがこの商品なのです。

 

 

 

誂え友禅とは、生地の段階から染出し

する友禅染のこと。

 

通常の呉服は染上がった原反から選ぶ

のに対し、誂え友禅はまず染める生地

を選び、柄もブック見本に掲載されて

いる柄の中から選ぶのです。

 

染めの段階から発注できるので、柄付

寸法や地色の変更が可能で、生地を選

ぶことで、染上がりも調整できます。

 

染工場も、当時(昭和60年頃)大小

合わせると70軒ぐらいあり、其々が

1~2冊のブック見本を持っていたの

で、柄行も多岐に亘り、本来の意味で

のオートクチュールではありませが、

自分だけのオリジナルに近い誂え染が

できたのです。

 

しかし、現品で見ることができない分

その柄が自分に合うのか分かりにくく

きものに慣れ親しんでいないと、柄選

びが難しい商品でもありました。

 

 

誂え友禅は、小売店が顧客から染加工

を受注し、それを京都の染問屋に発注

します。発注された加工はその柄に応

じ、各染工場に染め出されるのです。

 

この京都に染め出すことを「京染」と

いい、これを生業とする店を京染店と

呼んでいて、屋号は大概「京染〇〇」

となってました。ちなみに当店も創業

当時は「京染綾匠」でしたね。

 

京染店は染め受注をメインに、それに

付随する加工全般を請け負う、いわゆ

る悉皆業が主な仕事でした。

その意味では呉服店とは異なります。

 

老舗が多い呉服店と比べ、在庫商品を

持たず、起業リスクの少ない京染店は

零細の家業店が多い業態でした。

 

時代が変わり、着物離れが進むと、そ

の様な(京染店の)業態は、淘汰の流

れもまた速いものでした。

 

昭和50年代をピークに市場規模は縮

小し、取扱高、小売店数、事業者数の

すべてが減少して行きました。

 

60年代当時、日産2000点以上の

染出しを誇っていた古くからの取引先

も、一昨年に廃業しています。

 

そして令和の時代に入り、その日は突

然、本当にあっけなく訪れました。

 

京都に問い合わせたその電話で初めて

知ったのです。慌てて発送の準備をし

配送依頼が済んだのが15時58分。

12月29日のことでした。

 

 

令和元年12月30日、最後の最後に

染め出したきものは、その染工場の

最後の仕事となったそうです。

 

最後のご注文を賜りました明石様、

誠にありがとうございました。

 

心より御礼申し上げます。