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流行のママ振り最高!? で、再考。

コロナ渦の中、自粛モードで成人式も

ままならない昨今。その影響なのか、

最近巷では「ママ振り」なるものが、

静かなブームになっています。

 

「ママ振り」とは、文字通りお母さん

の振袖のこと。

 

母親や身内の着物を利用すれば、新た

に用意する手間も省け、家族も喜んで

思い出作りになり、古い着物なら生地

も加工もいいので友達と差別化出来て

何よりも安上がり!と。

 

まさにwithコロナに相応しく、またそ

れ以上の良いこと尽くめの利用法に思

えますが、果たしてそんなに上手く行

くのでしょうか。

 

 

元々着物はリメイク用の多様布として

の機能が高く、世代を超えて利用する

ことができます。しかしその為の維持

管理には、当然コストも掛かります。

 

リーズナブルだからこそ利用しようと

思う訳ですが、古い物であればある程

直す費用も掛かりますし、そもそも費

用が掛かるなら「ママ振り」をあえて

選ぶ意味もありません。

 

なので、余程条件が揃わなければ、

上記のような恩恵には与れません。

 

では、どのような条件が揃えばお母様

の振袖を有効活用出来るでしょうか。

その条件を大切な順に挙げてみます。

 

 

①母親と体形が同じ

②その振袖用の帯、長襦袢等がある

③その振袖をお嬢様が着る意思がある

④その振袖をお嬢様が着ることを

 家族も喜んでいる

 

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①母親と体形が同じ

 

先ずこの事が何よりも優先されます。

体形が違うと寸法直しが必要となり、

寸法を変えるとそれに伴う新たな修整

が必要になって、費用がかさみます。

 

②その振袖用の帯、長襦袢等がある

 

もちろんそれらを含め、全ての和装小

物が揃っていれば一番良いのですが、

少なくとも単価の張るこの2点が既に

あれば全体のコストを下げられます。

 

③その振袖をお嬢様が着る意思がある

 

そもそも論として、本人が着る意思が

なければ全ては始まりませんが、本人

は着たいのに体形が違い過ぎるため、

泣く泣く諦めるというケースもよくあ

るのです。その意味で先ずは①が優先

されます。

 

④家族も喜んでいる

 

言い方を補足すれば、その意義を家族

も喜んで共有しているという事です。

 

母親(又は祖母)の振袖を娘が着ると

いうことは、これは「継承」すること

に他なりません。

大げさに聞こえるかもしれませんが、

お嬢さんが、おばあちゃんやお母さん

の着物を着て成人を祝う時、本人も、

又家族も、その家族にしか分からない

共感や絆を感じるはずです。

 

なぜなら、娘が纏うその振袖には、同

じようにそれを着た、祖母や母の想い

も込められているからです。

 

新たに購入したり、レンタルで済ませ

た場合には、決して感じることのない

心情なのです。

 

そして、家族全員がこの感情を共有し

ていれば、お嬢様を祝う気持ちもポジ

ティブになり、より積極的に準備も進

めることが出来るはずです。

 

 

このように「ママ振り」に辿る道には

幾つもの障壁があります。

すべてをクリアするのは難しいのかも

しれませんが、少しでも可能性がある

のであれば、前向きに検討してみたら

いかがでしょうか。

 

「振袖」という着物が持つ本当の価値

に、改めて気付けるはずです。

 

 

 

 

 

 

 

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