きものトラブル事例集
きものトラブル事例集 は行 その③
防虫剤による事故
防虫剤は一般に衣類の保管に用いられ
ていますが、正絹の着物の場合はそれ
程重要ではなく、むしれ使用方法を間
違えると思わぬ事故を引き起こす場合
があります。
それがプラスチックやバインダー(接
着剤)の溶解事例です。
防虫剤には樟脳・ナフタリン・パラジ
クロルベンゼン等の種類がありますが
これらを大量に使用することによって
気化したガス成分が溶解事故を起こす
のです。
写真①
写真①は保管中にボタンが溶けた事例
です。ボタンの材質にもよりますが、
異種類の防虫剤を併用した場合により
強く作用します。
写真②
写真②は金彩模様の打ち合いです。金
彩加工は生地に接着剤(バインダー)
で糊着しているのですが、保管中に気
化したガスで溶け出し、これと重なる
部分に付着した事例です。
これ以外にも、防虫剤の大量使用は様
々な影響を着物に及ぼします。
そして化学変化による事故は、一般的
に修復が非常に困難です。
防虫剤は過信せず、使い過ぎには十分
注意することが必要です。