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きものトラブル事例集

きものトラブル事例集 は行 その③

防虫剤による事故

防虫剤は一般に衣類の保管に用いられ

ていますが、正絹の着物の場合はそれ

程重要ではなく、むしれ使用方法を間

違えると思わぬ事故を引き起こす場合

があります。

 

それがプラスチックやバインダー(接

着剤)の溶解事例です。

 

防虫剤には樟脳・ナフタリン・パラジ

クロルベンゼン等の種類がありますが

これらを大量に使用することによって

気化したガス成分が溶解事故を起こす

のです。

 

2021926151412.JPG

                   写真①

 

写真①は保管中にボタンが溶けた事例

です。ボタンの材質にもよりますが、

異種類の防虫剤を併用した場合により

強く作用します。

 

 

 

2021926152020.JPG

                   写真②

 

写真②は金彩模様の打ち合いです。金

彩加工は生地に接着剤(バインダー)

で糊着しているのですが、保管中に気

化したガスで溶け出し、これと重なる

部分に付着した事例です。

 

これ以外にも、防虫剤の大量使用は様

々な影響を着物に及ぼします。

そして化学変化による事故は、一般的

に修復が非常に困難です。

 

防虫剤は過信せず、使い過ぎには十分

注意することが必要です。