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2021年12月

きものトラブル事例集 は行 その④

変色 <汗による変色>

知らない間に起こる変色があります。

主な原因は汗や手の汚れで、それが付

着して時間の経過とともに地色に影響

を与えるもので、長い時間を経てから

気が付く変色です。

 

変色し易い場所は、衿や袖口、おはし

ょりの部分や上前の膝上辺りで、着用

中の手や肌が触れやすい部分です。

 

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         汗による変色が発生しやすい場所

 

特に衿や袖口は直接肌に触れるので、

一度着ただけでも汚れが付きやすく、

また着用後に丸洗いやドライクリーニ

ングに出した着物でも発生します。

 

これは汗が水溶性であるため、揮発溶

剤を用いた丸洗いやドライクリーニン

グでは、汗成分を十分に落とし切れて

いないのが原因です。

 

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             写真1 衿の汗汚れ

 

また写真2は着用中に付いた汚れでは

なく、流通段階、つまり問屋や小売サ

イドの在庫の時点で、仮絵羽状態で扱

われる商品に起こり易い変色です。

 

2021121214322.JPG

            写真2 絵羽汚れ

 

訪問着や色留袖など、仮絵羽で販売さ

れる商品は、広げたあと必ず袖付けの

所を持ってたたむのですが、その時に

付いた手の汚れが原因の変色です。

 

そのため絵羽汚れによる変色は、袖付

け周辺に集中するのが特徴で、在庫状

態の長い商品によく見られます。

 

また、絵羽汚れのある着物は「絵羽ヤ

ケ」も起き易くなります。

絵羽ヤケとは、長く絵羽たたみ状態に

なることで、たたんだ折山がヤケてし

まうもので、身頃や袖に白っぽい筋状

の変色を起こします(写真2の袖山の

下の筋)。

 

長く在庫になっている商品、つまりは

売れ残りの商品ということなので、そ

のような品物を勧められた場合は値段

に惑わされず、十分注意して選品する

ことが大切です。

 

また、勧める側も管理能力の有無を問

われるので、こちらも十分注意しなけ

ればなりません。

 

ハイすいません、注意します。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

きもの DE 短歌 その24

長襦袢 留袖喪服に白紋綸子めでたき地紋は 留袖のみに

黒留袖や喪服など、第一礼装に合わせ

る長襦袢は白になります。生地につい

ては別段紋綸子にこだわる必要はなく

白であることが大切です。

地紋も着ちゃえば分からないから、

まあいいでしょう。

 

喪服や黒留袖に、色ものの長襦袢を合

わせる人、コレ実はいるんですね。

ご本人は知識がなかったかもしれませ

んが、礼装ですから着付けも有料だっ

ただろうし、であれば間違いであるこ

とを容易に知り得たはずですが。

着付けのプロがそのことを知らない訳

がありませんが、どうなんでしょう。

 

もっとも、当日さあ始めましょうって

段階で、持ってきたのが色ものだった

と分かったら、もうしょうがないか。

 

ちなみに白い長襦袢を合わせるのは、

紋が五つ入った第一礼装のみ。

三つ以下なら色ものでもOKです。