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きものの染替えについて

 きものは染めたものであれば、基本的には染替えは可能です。が、そのきものによっては、あまりお勧めしない場合や、出来ない場合もありま染替えす。費用もそこそこに掛かります。新しく買うより安かったのは昔のことで、値段だけなら今では買ったほうが安いのです。そして染替えである以上、白生地から染めた程の染上がりは期待できません。にもかかわらず、染替えに対する関心は今日でも決して低くありません。それは満足度が高いからです。

 手持ちのきものを利用したいと考える人は、目的意識を持っています。そしてああ出来ないか、こう出来ないかといろいろ考えを進める中で、価値尺度がはっきりしてきます。これは大切なことで、自分にとって染替えがどのような価値があるのかを明確にしなければ、加工しても無駄になってしまいます。言い方を換えれば、その目的に対して染替えが有効でなければ、やっても意味が無いわけです。
 それを判断する尺度も人それぞれで、例えば予算や着る回数、好みの柄かどうかとか、自分が着なかったら他に着る人がいるかとか、いろいろある訳で、それらに照らし合わせて、ある程度のリスクと引き換えてもやる価値があると判断して、初めて加工するわけです。

 そのため自分の意向に沿ったものに染め上がった時はとても満足度が高いのです。もちろん自己満足ですが。ですからよく、この着物は染替える価値があるでしょうか、と聞かれるのですが、それはこちらには判りません。仮に染替えることが出来たとしても、その価値はご本人しか判断出来ないのです。染替え

 では具体的に染替えを行う上での予備知識を幾つか挙げておきますので、参考にして下さい。

 

■1.何を染めたいのかはっきりさせる

 染替えて何を作りたいのかを先ずはっきりさせましょう。素材(染替えようとするきもの)によって出来るものと出来ないものがありますので、早めに諦めることができます。

■2.予算の上限を決める

 その上で予算を決めます。目安は無地で6~7万円、小紋で10万円迄、付け下げ・訪問着で20万前後ぐらい(もちろんお店によって違います)。それ以上だと新しい良いものが買えます。

■3.染替えの方法

 染替えには色を抜いて染める方法と、抜かずにその上から色をかける方法があります。一般に染 めのきものは色を抜いたほうが染替えには有利ですが、例えば無地で地色を同色で濃くする(色 揚げという)場合や、抜くと不都合が生じる場合は抜かずに色をかけます。柄物でも色抜きせず染めることは出来ますが、元柄とのからみで染上りはバクチに近く、あまりお勧め出来ません。紬は 先染(織柄)のものは色抜き出来ないので色かけだけですが、染めた紬(染大島など)なら色抜きは可能です。

 近年では比較的コストパフォーマンスの高い「丸染め」という加工方法もあります。これは文字通り仕立てたまま染料に浸け込んで染めます。費用は従来の染加工に比べ3~4割安いのですが、裏地も染まってしまう、染め上がりの不安定さ、生地の微妙な萎縮など、デメリットもありますので、それなりの寛容さが必要と理解すべきです。右上のコートはこの「丸染め」で染めたもので、裏地が染まっているのが分かります。ちなみに、実際には上はもう少し赤く、下のはもう少し地味です。 まずままおおまmaデメリットもあります。でであああこうらじう

■4.染替えは色抜き次第

 「赤色、黄色にご用心 黒と白にも注意して金銀、刺繍は泣き所」 実はどんな染でも(たとえ無地でも)100%色を抜くことは出来ません。薄く茶色にうっすら残るのが普通です。元々きものを 染めるとき、色抜きのことを考えた加工法が取られることはありません。柄色によっては抜けないものもあり、繍箔も色抜きの障害になります。基本的に凝った加工のもの程、染替えには不向きで、柄のない無地に近いものほど染替えに向きます。

■5.無地にはきれいに染まらない

 無地に染めるのは一見簡単のように思えますが「無地に始まり、無地に終わる」と云われるくらい(白生地から染める場合でも)、無地染めは難しいものです。まして古物は生地の痛みが染めムラになりやすくきれいに染まらないので、無地に染替えることはお勧め出来ません。

■6.元柄に似た柄を選ぶのがコツ

 既に前述したように、染替えの成否は抜け具合によります。色抜きしやすい素材を選ぶことも大切ですが、元柄が抜け残った場合、いかに目立たなくするかがポイントになります。その唯一の方法が染めること。つまり元柄と似たような大きさ、構図の柄を選び、元柄を隠してしまうのです。柄を 柄で消すわけです。そういう柄選びをすることが、染替えを成功させる秘訣です。

■7.付け下げ・訪問着は染替えに不向き、留袖・喪服は×

 以上の理由で付け下げや訪問着は染替えには向かないのですが、全く方法が無い訳ではありません。それは柄を消すのではなく、柄はそのままで地色を替えたり、ろうけつ調子の吹雪柄に染めて全体のイメージを替える方法です。但しそれも選択肢の一つです。ベストの方法かどうかはよく考えた方がよいでしょう。尚、留袖や喪服は色抜き出来ません。

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