ホーム>スタッフブログ>2022年9月

2022年9月

きもの DE 短歌 その27

色留袖 紋の数には決まりなく 一つ三つまた 五つ紋あり

地色が黒以外の留袖を、色留袖と言い

す。

留袖と称されるように、主にフォーマ

ルの装いですが、その着用範囲は紋の

数に左右されます。

 

実は着物の中では留袖と色無地だけが

紋の数によって用途が異なるのです。

正確に言えば格付けが変わる。

例えば色無地なら、紋がなければ普段

小紋と同格で、一つ紋の略礼装は

そ行きのスーツ、三つ紋で準礼装、

婚式の挙式に、五つ紋なら第一礼装、

つまり喪服です。

 

色留袖も紋の数により略礼装、準礼装

第一礼装と分けることは出来るのです

が、この色留袖という着物、実はその

存在意義が意外とウスい。

 

一つ紋で略礼装も訪問着があれば必要

ないし、結婚式だって親族なら訪問着

を着ちゃう。唯一お勧めの機会と言わ

れる叙勲だって、自分を含め御主人に

その機会があるかどうか、考えなくて

もわかりますね。

そして第一礼装としてはその殆どが結

婚式なので、黒留袖の独壇場―。

 

強いて言うなら、立ち位置的に黒では

ちょっと憚れると感じてしまうような

日頃から余りお付き合いの薄い姪っ子

や甥っ子の結婚式、ぐらいか。

 

まあ元々が礼服出身の身なので、

つぶしが効かないのです。

 

色留袖を分かりやすく言えば、居酒屋

で取り合えずビールみたいな前座では

なく、オンザロックの芋焼酎ですか。

 

つまり嗜好性が高い。

要は着る目的があって求めるアイテム

なので、それほど持っている方は多く

ないかもしれません。

 

それでも、ハイ何にでも着れますよ、

と、悪徳呉服屋の口車に乗って買って

しまった人もいるでしょう。

 

そんな色留を着こなすポイントは、

「格を下げる」ことです。

 比翼仕立てにしない

 紋は縫い紋一つ

 重ね衿は色ものを使う

これだけで装いの巾は広がります。

 

でも、もし持っているのであれば

積極に着てみたいですね。

 

誰もが着てない、拘りのセンスアップ

できますよ。