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真っ黒な喪服を仕立てたら白く汚れた!

ありがた迷惑?な「深色加工」

 

 

呉服屋さんから、一番黒いと薦められ

た喪服地が、仕立てたら白くムラムラ

に汚れが付いてしまった、と言った話

を聞いたことがあります。

 

実はこの白いムラムラは汚れではなく

言わば「スレ」です。

 

 

現在の喪服地には「深色加工」という

黒の色がより濃く見える特殊な加工が

施されているものが増えています。

 

一般に物体は、当たった光の反射量が

多いほど白く見え、逆に少ないと黒く

見えます。

そこで反射量を減らして色を濃く見せ

るため、繊維表面に光の屈折率を下げ

る皮膜や、微細な突起で反射率を下げ

る樹脂加工等が施されているのです。

 

深色加工された黒は、確かにより黒く

見えますが、それは「見える」だけで

黒の色自体が濃いのではありません。

 

それゆえ、施された皮膜の状態が、何

らかの作用で変化を起こすとすると、

見え方も変わってしまいます。

 

 

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        「深色加工」の黒 強く触るだけで跡が付く

 

例えば、しみ抜きや丸洗い等の加工を

すると皮膜の状態が変化し、光の屈折

率が変わり、白っぽく見えます。

 

また皮膜加工された生地は、言うなら

ば非常にデリケートな状態なので、例

えば仕立て時のアイロンやヘラ等でも

跡が付き(微細加工が潰れ)、結果的

に反射率が変わって白いスレのような

状態に見えてしまうのです。

 

それは、生地の厚みの段差ですら、

ハッキリ浮かび上がらせるほどです。

 

現在流通している喪服地の多くが、実

はこのような加工が施されています。

 

いくら黒いからと言っても、腫れ物に

触るようでは実用的とはいえません。

 

黒さを求めながらも、扱い易さも加味

した商品が待たれるところです。