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カビ考学 カビ、実は怖かった!

人間が生活する環境、衣食住の全てで

カビは発生します。

 

皆さんの大切な着物にも、当然カビは

しっかり生えてしまいます。

 

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カビが発生する条件としてよく言われ

るのが温度・湿度・養分・酸素です。

 

これらがタップリあるとカビは喜んで

生えるのです。

 

そもそも「カビ」とは何ぞやと言うと

生物を動物、植物、原生生物の三つの

カテゴリーに分けた、キノコや酵素と

同じ原生生物の「真菌」というもの。

 

ではどこに生息しているのかというと

この空気中に浮遊しているのです。

 

つまりカビの元となる真菌、コレ実は

身の回りにすでにアチコチ漂っている

のです。

 

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漂っているのは丸い形をした「胞子」

の状態で、それが辿り着いたところが

上記の4条件に合致した場合に、手を

出し足を出し成長して、あのカビの姿

になるのです。

 

温かくて湿っぽくて、食べ物(繊維)

いっぱい。イエーイ!って感じで、

閉めっぱなしのタンスの中は、カビに

とっては、まさしく天国でしょう。

もっとも、この4条件が揃わなければ

逆にカビは発生しにくい。

ならばこのどれか1つでも防いでしま

えばよい、と言うことにもなります。

 

そこで効果的なのが「除湿」です。

除湿は乾燥剤を入れるだけなので、

簡単に湿度管理が出来ます。

 

着物の保管には乾燥剤を用いて、

常に乾燥させるようにします。

 

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また最近は、気密性の高い着物専用の

収納袋もあるので、そういった商品を

上手に利用するのも良いでしょう。

 

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このようなカビの発生を防ぐ処置は、

着物を管理する上で必要不可欠なもの

と言えます。

 

と言うのも、カビがもたらす悪影響は

実はかなり重いものです。

 

カビが生えるのは身近なことなので、

それほど驚くことはないと思いますが

一旦カビを生やしてしまうと、それを

落とすのは非常に困難なのです。

 

カビは胞子で付着すると、繊維の中に

菌糸を伸ばし成長しますが、初期の段

階ではほとんど分かりません。

 

カビが生えていると気づく、つまり目

視で確認できた時点で、白カビ、黒カ

ビに限らず、すでに繊維内に十分根が

っている状態なのです。

 

そうなると丸洗いだけでは落とせず、

併せて有機溶剤や水を使ったしみ抜き

加工が必要になるケースがほとんどで

しかもそれでも完全に落とし切ること

は出来ません。

 

そしてカビが厄介なのは、繊維内に残

っていた菌糸が成長して、再びカビに

なる可能性があるからです。

 

布地特有の、複雑で広範な繊維組織が

カビの除去を困難にしているのです。

 

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シミ・汚れ・変色等、着物の修復加工

は、通常一度加工すれば元に戻るよう

なことはありません。

 

しかしカビは再発の恐れがあります。

 

そして面倒な事に、白っぽい地色だと

殆ど分からない、見えないのです。

 

また、白カビは拭いてしまうと落ちた

ように見えますが、生地に侵食した菌

糸は繊維組織をを徐々に蝕みます。

 

やがて茶色く酸化が進み、生地全体が

ボロボロに傷んでしまい、こうなると

もう直す手立てはありません。

 

更にカビの害が恐ろしいのは、重なり

合う着物にも菌が移り、同じように侵

食が進み、遂にはタンス全体に感染が

広がってしまうのです。

 

その意味で、シミ・汚れが外科的症状

だとすれば、カビは内科的な、しかも

悪性の難病と言えるかもしれません。

 

しかも完治しません。

 

カビは、一度罹ったら二度と治らない

恐ろしい不治の病だったのです。

 

ほら、怖いでしょ?