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浴衣のクリーニングについて

浴衣は昨今では、夏祭りや花火大会等

を盛り上げるイベントコスチュームと

して、気軽に楽しめる夏の装いです。

 

ですが、浴衣は紛れもなく着物です。

 

そして、浴衣が属する木綿の着物とい

ジャンルで括ると、久留米絣や阿波

しじら等の伝統工芸の織物と同じで、

この辺りがお好きな方は、逆にきもの

通でも結構コアな部類に入ります。

 

 

木綿の着物は裏地を付けず、ひとえで

仕立てます。

民芸織物の木綿は普段着であり生活着

なので、汚れても洗濯が出来るように

ひとえなのです。

 

当然、冬でもひとえです。

なので生地がしっかりしている。

 

そんな浴衣を夏に着ると意外に暑い。

見た目に拘わらず、暑いです。

 

だから着ると汗まみれになる。

 

汗のような水溶性の汚れは、

水でなければ落ちません。

 

なので木綿の浴衣は、

水洗いが一番適しています。

 

では、水で洗うだけでそれじゃキレイ

になるかと言うと、中々難しいです。

 

 

 

水で洗うことでの一番のリスクは、

縮むことです。

 

もちろん、絹物のような極端な縮み方

はしませんが、綿糸は元々テンション

が掛けられた状態で製糸され、浴衣地

は更に糊を引き張りを付けているので

水に濡れると元の状態に縮み、形崩れ

を起こし易いのです。

 

特に最近の浴衣は綿100%だけでなく

麻混等、混紡地のものも多く、どの程

度縮む恐れがあるか、必ず事前の確認

が必要です。

 

また絞りの浴衣は絞りが伸びてしまう

ので、水では洗えません。

 

次に考えられるリスクは色落ちです。

特に本藍で染めた藍染の浴衣は堅牢度

が低く、事前に擦ってみて色が付くよ

うなら、やはり洗えません。

 

そして肝心なのは、水だけではシミ、

汚れは落ちないということです。

 

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汗の成分は99%が水なので、水で洗

えば殆ど落ちるのですが、着たことで

生地に付着した皮脂やタンパク成分は

洗剤だけでは落とし切れません。

 

結果、残留成分は黄バミとなります。

 

また、浴衣は一度でも水洗いすると、

生地に引いていた糊が落ちてコシが無

くなりますので、布に張りをもたせる

には、再度糊入れが必要になります。

 

 

このように単に水で洗うと言っても、

決して簡単な事ではなく、いくつもの

リスクが隠れているのです。

 

これらをクリアするには、浴衣につい

の知識は勿論、素材・染色の知識、

み抜きの技術など、あらゆるスキル

要になるのですが、何よりも大切

なのは、その判断力です。

 

例えば浴衣の洗い加工には、水洗いの

み、水洗い+しみ抜き、ドライ+汗抜

き剤、ドライ汗抜き+水処理、および

しみ抜き併用等、様々な処理方法があ

るのですが、どの処理が一番その浴衣

に適するのか、を判断する力です。

 

衣類のクリーニングはその素材に合わ

せた加工が必要ですが、特に着物には

様々な素材と染色法があるので、幾つ

もの加工を組み合わせ、処理すること

が必要になるのです。

 

上記の「ドライ汗抜き」加工は、ドラ

イクリーニング液に汗抜き剤を添加し

て洗うもので、通常絹物の着物の汗抜

き加工に用いられますが、絞りの浴衣

等はこの処理方法が使われます。

 

また、色落ちし易い草木染の場合は、

ドライクリーニングと局所の水処理

びしみ抜きの併用となり、これは本藍

の浴衣などに用いられます。

 

そしてどの様な加工にせよ、水を使う

加工は、必ず縮みが起こります。

 

この縮みを修整するのが、

手仕上げで行う「整理加工」です。

 

水洗いで縮んだ浴衣を、乾燥させなが

アイロンひとつで元の寸法に戻して

いきます。

熱を掛けながら、収縮度合を微妙に調

し、巾を合わせてゆくのです。

 

この寸法を元に戻す技術が無れば、

浴衣を水で洗うことは出来ません。

 

 

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    きもの水洗い

 

 

このように、着物専門店の浴衣の洗い

加工では、様々な技術を組み合わせ、

職人が1枚1枚手作業で行います。

 

そのため加工料は、そこそこします。

 

一般のクリーニング店の料金を見てみ

ますと、1000円台から4000円

前後まで、意外に幅があるようです。

 

ちなみに白洋舎さんは3000円台で

水洗いということでした。

 

大手のお店の方が割高のようです。

 

もちろん、それらの業者さんが実際に

ではどの様な加工をしているのかは、

ブラックボックスで分かりませんし、

金額の高い安いで業者の良し悪しが決

まる訳でもありません。

 

値段の評価は相対的なものですから。

 

でも、もし上記のズラズラ書いた諸々

の事が、全部込みこみで1000円!

だったら・・・

 

それは、いいですね。

 

イチバンですよ!

最高です。

 

取引先、即、乗り換えます!