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きものDE短歌

きもの de 短歌 その17

半衿の ししゅうや柄にも格があり 白はいつでも 色は普段に

小物の合わせ方が分からないという声をよく聞きます。でもフォーマルとカジュアルを区分けできれば、そんなに難しくはありません。半衿はフォーマルの場合、原則「白」です。刺繡ものを使うのであっても地色は白。またその刺繡も、若い人の振袖や訪問着ならば色糸でもかまいませんが、第一礼装の留袖にする場合は「金・銀・白」の糸に限ります。これだけです。難しくないでしょ。ではカジュアルならどうか。はい、これは何でもありです。おしゃれの範疇であれば何んにも言われません。おしゃれは好みですから。ダイジョブですよ。あなたのセンスが問われる以外は。

半衿と同様、合わせ方が難しいと言われるのが重ね衿(伊達衿)。ポイントは左肩の柄中の一色を用いること。ただどの色がいいか、その色が合うのかは、実際に合わせてみなければ分かりません。重ね(衿)の色には文字通り色合わせの彩り、トリミングによる強調性、そして全体の色のバランス、この3つの要素が込められます。だからこんな色でこんな感じなんだけど、どの色がいいですかって聞かれてもそれだけでは分かりません。実際にいろいろ合わせてもけっこう難しい。また拘る人はトコトン拘ります。以前、午前中に来店して午後に改めて着物持ち込んで、八掛の色見本まで持ち出してようやく納得してもらったことがありますが、それくらい難しい。しかもその人結局買っていかなかったというオチが付く。苦い思い出です。

 

きもの de 短歌 その16

不祝儀の 衣紋ひかえ目 お太鼓は低く小さく 心をこめて

詰まるところ、不祝儀のの装いは控えめにという、ごくごく普通のことなのですが、実際にはバタバタ慌ただしい中でそこまで気を使って着付けすることはないかもしれません。それよりも急な準備にまごつき結局着なかったなんてことも。最近は葬儀社の方で用意してくれることも多いですが、自前の場合は注意が必要です。よくあるのが小物の組み合わせの間違い。袷の喪服にレースの帯締め、夏の帯を合わせるケース。特に喪服の仕立て上がりの帯はリバーシブル仕立てで裏が夏用になってるのですが、裏の方がキレイだったので裏を使ったんだよ、いけねーかというホントの話。まあ良くはないんですが、クロのくくりだけで終わらしちゃうと失敗します。あと多いのがシワ。衿に変なシワがあると目立ちます。黒はよく見えますよ。番外編では半衿がついてないケース。これは、もういいでしょう。

きもの DE 短歌 その15

留袖を 着るとき下前 上げ気味に 二十太鼓は やや大きめに

普段着は着れても、留袖はなかなか自分で着る方は少ないかもしれません。留袖は比翼仕立てになっているので、衿をきれいに見せるにはしっかり固定する必要があります。止めが甘いとどうしても比翼衿が出すぎたり引っ込んだりしてしまいます。また比翼は意外と重いので、腰紐をしっかりしないと裾が下がってきます。そこで下前は普通のきもの以上に上げ気味するわけです。帯結びは基本的には訪問着と同じですが、大き目の枕を使い、お太鼓の山に張りが出るように結ぶとお太鼓が大きく見えます。ただ留袖の着こなしはあまり「崩し」がきかないので、お金払って着付けてもらったほうが良いかもしれません。

 

きもの de 短歌 その14

帯結び 基本は輪が下 耳が上 上をゆったり 結ぶのがコツ

・・・きもの姿で一番着こなしが表れるのが、帯び結びです。ぎゅっと結んで、見るからに苦しそうな帯姿と、そこにお財布でも入りそうなくらいにゆったりした帯姿。どちらがキレイかは言うまでもありません。また、それこそが求めるべき最終形かもしれません。綺麗な着姿を目指して、日々きものを着るのです。皆様のご健闘をお祈り申し上げます。合掌

きもの de 短歌 その13

衿あわせ 帯揚げ帯〆結び目は つねに身体の 中心となる

・・・これですね、結構バラバラの人、いるんです。ま、着てるうちにズレてきちゃうんでしょうけど。特に衿。合わせが左右にずれていたり、左右の衿巾が違ったり。衿はコーリンベルトと衣紋抜きでしっかり固定することが大切です。また、羽織を着たときは特に注意。ちょっとズレても目立ちます。

きもの de短歌 その12

帯揚げは 普段着などにはすっきりと 若きと外出 ふっくら結ぶ

・・・ま、年がら年中きもので過ごすわけではない現代では、それほど気にすることもないかなと思いますけど。ただ帯揚げはそれほど露出させるものではないので、どのような装いでもすっきり見えたほうがよいでしょう。それと色。好き勝手な合わせ方が許されるのは振袖だけです。帯〆にも言えることですが、全体のバランスが大切です。で、実は一番センスが表れるのが、この小物の色合わせなんですね。好みなので別にいいんですけど、他人はそれ見ていろいろ思うわけですよ。まあ気にしなければいいんですがね。ただ帯〆と帯揚げを同じ色で合わせるの、これ昔はありましたが今は野暮ったい。同じに見えて、同じじゃない。しかもそれが瞬時に分かる。こんな合わせ方が、今なんでしょうね。

きもの de短歌 その11

帯〆の 房喜びは上に向け 悲しみのとき 房は下なり

・・・これは袱紗や祝儀袋の閉じ方と同じで、慶事は上向き、弔事は下向きという意味です。で、分かりにくいのが普段着の場合。よく言われるのが左側が上向きで右が下向きというのですが、その逆という人もいる。ざっくり左右上向きなんて人もいる。つまりバラバラで、決まりはないようです。帯〆の始末について言えば、房の向きより、帯〆自体の長さの方が気になります。最近はしっかり胴回りを補整する関係で、並尺では房がしっかり脇まで届かないんですね。これはカッコわるい。だからといって長尺では長すぎる。結構困ってる人、いますよ。組紐屋さん、そろそろ考え時じゃないですか。

きもの de短歌 その10

色により 帯締めの向き使い分け 金銀濃淡 濃い方が右

・・・帯締めにも様々な色柄があります。そのすべてに組み合わせの格があるので、初めはなかなか分かりにくいですね。大きくフォーマルとカジュアルに分けると、金銀・薄色のポイント柄の平組みがフォーマル、無地・濃色・総柄の丸組(平組)がカジュアル、となります。また平組の帯締めには必ず裏表があります。見分け方は金糸組の方が裏側、または房のところの「ヘソ」側が裏です。それと平組みの帯締めはポイント柄が多く、ほとんどセンターより左右どちらか寄りについています。この場合は自分から見て、必ず左側に柄がくるように締めましょう。

 

きもの de短歌 その9

お太鼓の 結び上がりにシワとりて たれ先その下 たしかめるべし

・・・帯結びには「きもののレベル」が表れます。着付けは「技術」なので、その人の創意と個性が映るのです。帯だけでなく、例えば衿の合わせ方、裾の収まり方など、何気ない着姿に表れます。ま、平たく言えば着慣れてるか、ビギナーかですね。帯結びで言えばお太鼓のかたち、胴の巻き方、たれの長さ、帯揚げの出方や帯締めの房の始末等、ひとつひとつのディテールにまで表れてしまいます。でもね、それを隠す必要はありません。きものが身にまとうものである以上、体形の違いによりその着姿は人其々です。判で押したようにはいきません。そこに創意と個性が生まれるのです。キレイな着方より、自然な着姿。洋服には出来ない着こなしの醍醐味です。

きもの de短歌 その8

お太鼓の 位置年齢できまります 若きは高く しだいに低く

・・・若いうちは胸高に、年に合わせ、帯も次第に低くなる。これ、誰でも知ってるようで、実は意外と知らずに締めてるんですね。二十歳の振袖姿では、本当に胸高に締めます。これは衿合わせとも関係していて、衿元をキュっと締めて清楚感を出すわけです。歳を重ねるにしたがい、落ち着きとゆとりを醸して帯位置を下げるのです。もっとも最近は若い人でも比較的に低めに締める人もいますね。装いに合っていればいいです。ただ、その逆はよろしくない。落ち着きがなく、稚拙に見えます。小池都知事、気をつけましょう。

 

きもの de短歌 その7

お太鼓は きものの格と体形に よりて大小 つけるのがよし

・・・この場合の「大小」とは、体形に合わせたお太鼓の大きさのみならず、きものとの格合わせ、ひいては装い全体のバランスも含めた意味あいがあります。お太鼓の大きさと体形との関係は端的に背の高い人は大きめ、低い人は小さめとなるのですが、実は帯巾を変えなければそれ程大きさも変えることはできません。また洒落ものの名古屋と礼装用の袋帯でも違いはあります。要はお太鼓の大きさも含め、その帯の種類・用途に合わせたきものの装いを考えることが大切です。

きもの de 短歌 その6

半衿の 出具合きもので変わります 格高きほど 多く出すなり

・・・これは実はそれほどそうとは思わないんですよね、個人的には。もちろん紬の場合はすっきり見えた方がいいですけど、衿の出かた・出し方はくりこしの寸法や年齢、着付けのスキルによっても変わります。「半衿の 出具合スキルで変わります 行きはスッキリ 帰りはボテボテ」きれいに衿を出し、それを維持する(着崩れしない)ことのほうが、より大切です。